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アルミ地金の国際在庫 増加に歯止めかからず


2009年6月16日火曜日 日経産業新聞 17面
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アルミニウム地金の国際在庫の増加に歯止めがかからない。国際指標のLME(ロンドン金属取引所)指定倉庫在庫は現在 420万トン台。金融危機で需給が急速に緩和する直前と比べ 3.6倍に膨らんでいる。

アルミの主要な需要分野である自動車および住宅市場の低迷が続く間は在庫需要の改善は見込み薄との見方が多い。特に自動車向けでは米ビッグスリーの系列 部品メーカーからはアルミ地金在庫をLME指定倉庫へ持ち込んで換金売りする動きが続いている。米国製錬会社も在庫放出に動いている模様だ。

GMなどが米連邦破産法11条の適用申請を行うなど、米自動車産業全体が再生へ向けた構造転換を進めているが、復活へ向けた道筋は見えない。在庫調整は長引きそうだ。

中国市場では年初から政府が戦略備蓄積み増しに動いたほか、民間業者の間でも大規模な経済対策による需要増を見込んで調達が活発化した。しかし、中国内の製錬会社の増産もあって国際需給の改善にはつながっていない。

LME3ヶ月先物価格は年初以降上向いていてきたが、世界的な金融緩和を背景とした株式や原油価格など商品相場の上昇に連動している側面が強い。いったんこうした動きが止まると、相場も調整局面を迎える可能性が大きい。